生活習慣病

生活習慣病とは

生活習慣病とは、日々の生活の中での習慣や環境が大きく関係して発症する病気の総称です。
運動不足、偏った食事、過度の飲酒、喫煙、ストレスなどが積み重なることで、体に少しずつ負担がかかり、やがて病気として現れます。

日本人の主な死因である がん、心疾患、脳血管疾患 は、いずれもその背景に生活習慣病が深く関係しています。
とくに 糖尿病・高血圧症・脂質異常症・肥満症 などは動脈硬化を進め、心筋梗塞や脳卒中など命に関わる病気の原因となります。

生活習慣病の多くは初期に自覚症状がほとんどなく、気づかないうちに進行していきます。
気づいた時にはすでに脳や心臓、腎臓などにダメージが及んでいることも少なくありません。
健康診断などで異常を指摘された場合は、放置せず早めの受診をおすすめします。

当クリニックにおける生活習慣病の診療

生活習慣病の治療で大切なのは、定期的な検査で状態を把握することです。
痛みなどの症状がある病気と違い、数値が安定していても内部で変化が起きていることがあります。
たとえば、高血圧症で血圧が良好に保たれていても、腎臓の機能が知らないうちに落ちている場合があります。

治療の目的は、血糖や血圧、脂質をただ下げることではなく、脳卒中や心臓病、腎臓病などの合併症を防ぐことにあります。
そのために、当クリニックでは次のような検査を組み合わせ、現状とリスクを総合的に評価しています。
多くの検査は院内で行えるため、その日のうちに結果をお伝えできます。

主な検査内容

  • 血液検査
    糖尿病の指標となるHbA1c、コレステロールや中性脂肪、腎機能の指標(クレアチニン、尿素窒素など)を定期的に確認します。
  • 尿検査
    たんぱく尿、尿潜血の有無や尿沈渣異常を確認し、腎臓への影響を早期に発見します。
  • 心電図検査
    不整脈や虚血性変化の有無を調べ、心臓への負担を評価します。
  • 胸部レントゲン検査
    心拡大や肺うっ血などの変化を確認します。
  • 頸動脈エコー
    首の血管の動脈硬化の程度を超音波で調べ、プラークの有無や進行状況を確認します。血圧脈波検査(ABI・PWV)
    血管の硬さや詰まり具合を測定し、「血管年齢」を参考に動脈硬化の進行を把握します。
  • その他
    必要に応じて、心エコーや、腹部エコー、CT、MRIを院内で行うことができます。

主な生活習慣病

糖尿病

糖尿病は、インスリンというホルモンの働きが不足または低下し、血糖値が慢性的に高くなる病気です。
進行すると、動脈硬化、神経障害、網膜症、腎症など、全身にさまざまな合併症を引き起こすことがあります。

初期の段階では自覚症状が乏しいため、健診や血液検査で早期に気づくことが重要です。
予防と治療の基本は、食事内容の見直し、定期的な運動、体重管理です。必要に応じて内服薬やインスリン治療を行い、血糖コントロールを維持します。

高血圧症

日本高血圧学会の基準では、収縮期血圧(上の血圧)が140mmHg以上、または拡張期血圧(下の血圧)が90mmHg以上の場合を「高血圧」としています。
血圧が高い状態が続くと、血管に負担がかかり、動脈硬化が進行します。その結果、脳卒中・心筋梗塞・腎臓病などの重篤な病気を引き起こす危険性が高まります。

高血圧は自覚症状が乏しいため、定期的な測定と記録が重要です。食事の塩分を控え、適度な運動や十分な睡眠を心がけることが、治療と予防の基本となります。

脂質異常症

脂質異常症とは、血液中の脂質(LDLコレステロールや中性脂肪)が増えたり、HDLコレステロールが減ったりしている状態です。
この状態を放置すると、血管の壁に脂質が沈着して動脈硬化が進行し、心筋梗塞や脳梗塞などの動脈硬化性疾患の原因となります。

初期には自覚症状がほとんどありません。
定期的な血液検査で異常を早期に見つけ、食事・運動療法を中心に、必要に応じて薬による治療を行います。

高尿酸血症

血液中の尿酸値が7.0mg/dLを超えた状態を指します。尿酸が結晶となって関節にたまると、激しい痛みを伴う「痛風」を起こします。放置すると腎臓結石や尿路結石の原因にもなります。

生活習慣病が原因で起こる重い病気

心筋梗塞

心臓の筋肉に血液を送る冠動脈が詰まり、血流が途絶える病気です。突然の強い胸の痛みが特徴で、命に関わることがあります。高血圧、糖尿病、脂質異常症、喫煙などが主な危険因子です。予防には塩分・脂質・糖分を控えた食事、禁煙、適度な運動が大切です。

脳卒中

脳の血管が詰まったり破れたりすることで起こる病気で、脳梗塞・脳出血・くも膜下出血に分けられます。手足のしびれや麻痺、言葉のもつれ、意識の低下などの症状が急に現れた場合は、すぐに救急車を呼んでください。脳卒中は後遺症を残すことが多いため、日ごろから血圧・血糖・脂質の管理が重要です。
疑った場合は、迅速に頭部CT検査やMRI検査を行う必要があります。

高血圧症・脂質異常症・糖尿病で通院中の方へ

(生活習慣病管理料Ⅱについて)

令和6年(2024年)6月の診療報酬改定により、高血圧症・脂質異常症・糖尿病で通院されている患者さんは、これまでの「特定疾患療養管理料」から、より個別性の高い「生活習慣病管理料Ⅱ」へと移行しました。

当クリニックでは、患者さん一人ひとりの生活習慣や背景を踏まえた治療計画を作成し、療養計画書に基づく診療を行っています。対象の方には初回のみ、計画書へのご署名をお願いしています。
引き続き、安心して通院いただけるよう努めてまいりますので、ご理解とご協力をお願いいたします。

当クリニックの方針

生活習慣病は「生活」を整えることが治療そのものです。
検査と診断、生活指導、薬物治療を組み合わせ、患者さんとともに将来の健康を守る診療を行っています。
健康診断での異常や、血圧・血糖・脂質、尿酸の数値が気になる方は、お気軽にご相談ください。

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