混合性結合組織病

概要

混合性結合織病は、全身性エリテマトーデス (SLE)、全身性強皮症 (SSc)、多発性筋炎・皮膚筋炎 (PM/DM)の3つの膠原病が不完全に混在し、さらに抗U1-RNP抗体という自己抗体が高値となる疾患です。男女比は1:13~15と女性に多く見られ、好発年齢は30~40歳前後です。しかし、小児や高齢での発症例も散見されます。本疾患の原因は解明されていませんが、他の膠原病と同じように遺伝的な要因と環境的な要因が組み合わさって発症すると考えられています。

症状

本疾患の症状は非常に多岐にわたり、疾患を構成する3疾患の症状がみられます。以下に代表的な症状を説明します。

共通症状

レイノー現象と手指のソーセージ様の腫脹が高い頻度で見られます。

SLE様症状

発熱、顔面紅斑 (特に蝶形紅斑、SLEの項を参照)、リンパ節の腫れ、多発関節炎、胸膜炎や心膜炎があります。

強皮症様症状

皮膚硬化 (手指に限局して皮膚が硬くなる)ことや間質性肺炎、さらに逆流性食道炎が起きたりすることが比較的よく見られます。

筋炎症状

四肢の体幹に近い部位の筋肉の痛みや筋力の低下がみられ、階段の上り下りやしゃがんだり立ち上がったりする動作がつらくなります。しかし、混合性結合織病では筋肉の症状が強く出ることは珍しく、多くは軽症といわれています。

重要な合併症

肺高血圧症

本疾患の5~10%にみられる重い合併症です。心臓から肺に流れる血液の圧力が高くなり、心臓に負担がかかります。自覚症状として体動時の動悸、胸痛や息切れなどがあります。症状のない時期から心臓超音波検査を行い、早期に診断・治療ができるようにします。

無菌性髄膜炎

無菌性髄膜炎は他の膠原病と比べて効率に本疾患に合併し、抗U1-RNP抗体との関連が示唆されています。一部はイブプロフェンをはじめとする非ステロイド性抗炎症薬の使用が誘因となることが知られています。したがって、混合性結合織病に対する非ステロイド性抗炎症薬の使用は慎重に行う必要があります。

三叉神経障害

三叉神経障害も膠原病の中では混合性結合織病に特異的で、片側または両側の中枢側もしくは末梢側の第1枝から第3枝いずれの領域でも起こり得ます。自覚症状として、知覚過敏や感覚鈍麻、味覚異常、咬筋麻痺や角膜反射の低下などが見られます。

検査      

血液検査

抗U1-RNP抗体が単独高値となることが特徴とされていますが、全身性エリテマトーデスや全身性強皮症、多発性筋炎・皮膚筋炎に伴う自己抗体がみられることもあります。その他、補体の低下や血球減少、筋酵素増加、血沈やCRPの増加、高ガンマグロブリン血症やリウマトイド因子が陽性になることも多くみられます。

胸部X線・CT検査

胸部X線検査では30~50%の患者さんに間質性肺炎が認められます。CT検査はX線検査よりもさらに詳しい検査で、早期の間質性肺炎を発見することができます。

その他の検査

肺高血圧症の診断のためには心臓超音波検査や心臓カテーテル検査が行われます。超音波検査は負担が少なく簡単に受けられますが、確定診断にはカテーテル検査がひつようです。食道の運動を調べる食道造影検査や筋肉の状態を評価する筋電図検査を行う場合もあります。

診断

診断には厚生労働省研究班により作成、改訂された以下の診断基準 (表1) が用いられます。

表1 混合性結合織病改訂診断基準2019
I. 共通所見
1. レイノー現象
2. 指ないし手背の腫脹
II. 免疫学的所見
抗U1-RNP抗体陽性
III. 特徴的な臓器所見
1. 肺動脈性高血圧症
2. 無菌性髄膜炎
3. 三叉神経障害
IV. 混合所見
全身性エリテマトーデス様所見
a. 多発関節炎
b. リンパ節腫脹
c. 顔面紅斑
d. 心膜炎または胸膜炎
e. 白血球減少(4,000/uL以下)または血小板減少(10,000/uL以下)
全身性強皮症様所見
a. 手指に限局した皮膚硬化
b. 間質性肺炎
c. 食道蠕動運動低下または拡張
多発性筋炎/皮膚筋炎様所見
a. 筋力低下
b. 筋原性酵素上昇
c. 筋電図における筋原性異常所見
診断
(1)
I. 共通所見の1項目以上陽性、II. 免疫学的所見が陽性、III. 特徴的な臓器所見の1項目が陽性
以上3つをいずれもみたすもの。
(2)
I. 共通所見の1項目以上陽性、II. 免疫学的所見が陽性、IV. 混合所見の2項目以上で1所見異常が陽性
以上の3つをいずれも満たすもの。
上記のいずれかの場合、混合性結合織病と診断する。

治療

軽症から重症のものまで、副腎皮質ステロイド薬の使用が中心となります。病状によって使用する量が異なります。胸膜炎や心膜炎などの場合には、プレドニゾロン 30 mg/日程度を使用し、腎炎や間質性肺炎の急性増悪、血小板減少症など重症例にはプレドニゾロン 1 mg/kg/日(40 mg~60 mg/日)程度の大量ステロイド療法を必要とします。効果不十分の場合にはステロイドパルス療法を行います。またステロイドに加えて免疫抑制剤を使用する場合もあります。

肺高血圧症の治療

近年、多くの肺血管拡張薬が開発され、肺高血圧症の治療は大きく進歩しました。副腎皮質ステロイド薬や免疫抑制薬は早期に効果示すこともあります。症状のある肺高血圧症では重症度に応じて、プロスタサイクリン誘導体、プロスタサイクリン受容体作動薬、エンドセリン受容体作動薬、ホスホジエステラーゼ阻害薬や可溶性グアニル酸シクラーザが用いられます。

間質性肺疾患の治療

間質性肺疾患が進行する場合には、副腎皮質ステロイド薬やミコフェノール酸モフェチルなどの免疫抑制薬による治療が必要となります。また肺の組織が硬くなる肺線維症には、線維化を抑えるニンテダニブが使われます。

生活上の注意

禁煙

喫煙はレイノー現象や間質性肺炎を悪化させます。受動喫煙も影響するため、家族や周囲の方にも協力をお願いして禁煙を徹底しましょう。

寒さを避ける

寒さはレイノー現象を引き起こす原因となります。冬季は暖かい手袋や靴下を身に着け、冷える場所を避けるようにしましょう。

紫外線を避ける

紫外線は病気を悪化させる場合があります。外出時には日焼け止めクリーム、帽子、日傘を使い、強い日差しを避けるようにしてください。

食事

貧血や骨粗鬆症を併発しやすいので、鉄分、カルシウム、良質な蛋白質を積極的に摂取しましょう。
ステロイドを使用している場合は生活習慣病のリスクが高くなります。また、使用している薬剤によっては、慢性腎臓病のリスクも高まります。適切なカロリー摂取とバランスの良い食事を心がけ、生活習慣病の管理をしっかりと行いましょう。

睡眠

十分な睡眠時間を確保し、睡眠不足にならないように工夫しましょう。睡眠不足は症状を悪化させる要因となります。

運動

痛みが強い時には安静が第一ですが、薬物療法で痛みや腫れが落ち着いてきたらリウマチ体操などの運動療法を始めましょう。関節を動かすことで、痛みやこわばりを和らげ、筋力や関節の可動域を維持・向上させます。

物理療法

炎症が収まっているときには、関節をホットパックやパラフィン浴などの温熱療法が適しています。炎症が強く、痛みや晴れがあるときには患部を冷やしましょう。

感染の予防

感染症にかからないようにマスクの着用、手洗い、うがい、十分な睡眠、バランスの取れた食事を心がけましょう。

当院の特徴

  1. リウマチ専門医による診療
    当院では、関節リウマチ・膠原病診療に精通した経験豊富な専門医に加え、大学で教育・研究に携わる医師や教授の医師を含む、計11名の専門医が外来診療を担当しています。
    また、小児科専門医資格を有する医師 (毛利医師) も在籍しており、若年性特発性関節炎をはじめとする小児リウマチ性疾患(各種膠原病、自己炎症症候群など)にも対応可能です。
  2. 充実した検査体制
    ☑院内迅速検査として、以下の項目が即日に結果説明が可能です。
    尿検査
    血算(白血球・赤血球・血小板)、CRP
    血糖 (グルコース・HbA1c)
    Dダイマー
    各種感染症の抗原検査、PCR検査(インフルエンザやCOVID-19等)
    生化学検査 (肝機能・腎機能・電解質・脂質など) (※2025年11月15日開始)。

    ☑生理学的検査としては、心臓、消化器、内分泌・代謝、リウマチ専門医による超音波検査が可能です。
    心電図
    肺機能検査
    血管伸展性検査
    各臓器別専門医による超音波 (エコー) 検査

    ☑画像検査としては、CT、MRI検査まで備えていることが当院の特徴です。
    レントゲン検査
    骨密度検査 (DXA法)
    CT検査
    MRI検査

    これらの検査体制により、各臓器の合併症や治療に伴う副作用の全身的な評価を必要に応じて行うことができ、診断・治療・副作用対応までを院内で完結できる体制を整えています。
  3. 全身疾患であるリウマチ膠原病疾患の臓器合併症に対応
    リウマチ・膠原病疾患は全身疾患です。当院では、循環器呼吸器消化器内分泌・代謝の専門外来も行っており、患者様を都度他病院にご紹介することなく、クリニック内で全身の合併症の評価が可能です。
  4. 治療に伴う副作用の診断・治療に対応
    リウマチ・膠原病の治療では、ステロイド、免疫抑制薬、生物学的製剤を中心とした薬物療法が主体となりますが、これらはいずれも感染症、骨髄抑制、肝機能障害、腎機能障害など、多様な副作用を伴う可能性があります。特にステロイドは、感染症のほか、糖代謝・脂質代謝異常や骨粗鬆症など全身への影響がみられることがあります。
    当院では、こうした治療関連有害事象に対しても、院内検査体制を活かした早期診断と、各科専門医との連携による多角的な対応が可能です。外来での対応が困難な場合には、速やかに高度医療機関への紹介を行う体制を整えています。リウマチ・膠原病診療における安全性と有効性の両立を目指し、継続的なモニタリングと副作用管理を行っています。

生活上の注意

  • 禁煙を徹底する

喫煙はレイノー現象や間質性肺炎を悪化させます。受動喫煙も影響するため、家族や周囲の方にも協力をお願いして禁煙を徹底しましょう。

  • 寒さを避ける

寒さはレイノー現象を引き起こす原因となります。冬季は暖かい手袋や靴下を身に着け、冷える場所を避けるようにしましょう。

  • 紫外線を避ける

紫外線は病気を悪化させる場合があります。外出時には日焼け止めクリーム、帽子、日傘を使い、強い日差しを避けるようにしてください。

  • 服薬

薬は医師の指示通りにきちんと服薬しましょう。特に副腎皮質ステロイド薬は決められた用法で確実に内服しましょう。

  • 定期的な受診

外来は定期的な受診を怠らないようにしましょう。

当院での取り組み

肺高血圧症と間質性肺疾患については、心臓、呼吸器に負担のかかる合併症であることから特に重視しています。循環器内科と呼吸器内科専門医と共同で精密検査を行います。診察の結果、外来での治療が困難な重症であると判断された場合は、患者の安全と最善の治療を考慮し、大学病院などの適切な高度医療機関へ速やかに紹介します。一方で、外来での治療が可能と判断された病状については、当クリニックが責任を持って治療にあたります。

まとめ

当院は埼玉県所沢市にあり、狭山・入間・川越など近隣地域に加えて、清瀬市・東久留米市・小平市など東京都西部からも多くの方にご来院いただいています。
リウマチ・膠原病診療において、私たちは安全性と有効性を両立した医療の提供を目指しています。
各分野の専門医が連携し、早期診断から長期管理まで一貫した体制で診療を行っています。

リウマチ・膠原病は、長く付き合っていく必要のある病気ですが、適切な治療と定期的なフォローにより、より快適に過ごすためのサポートが可能です。
当院では、患者さんが安心して治療を続けられるよう、専門医チームがサポートいたします。

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