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MMP-3とは?高いとリウマチ?基準値・活動性との関係と注意点を解説

はじめの

「血液検査でMMP-3が高いと言われた」
「MMP-3が高いと、リウマチが悪化しているということ?」
「CRPは正常なのに、MMP-3だけ高いのはなぜ?」

このような疑問を持つ方は少なくありません。

MMP-3は、関節リウマチにおける滑膜炎や病気の活動性を評価する際に使われる血液検査です。治療経過や将来的な関節破壊のリスクを考えるうえで参考になりますが、MMP-3が高いだけで関節リウマチと診断したり、病状が悪化したと判断したりすることはできません。

特に、ステロイドを内服している方や腎機能が低下している方では、関節炎が落ち着いていてもMMP-3が高くなることがあります。

この記事では、MMP-3とはどのような検査なのか、関節リウマチの活動性との関係、検査結果を見る際の注意点について解説します。

MMP-3とは?

MMP-3は、「Matrix Metalloproteinase-3(マトリックスメタロプロテイナーゼ3)」の略です。

MMP-3は、関節を覆っている滑膜の細胞や軟骨細胞などから作られる酵素です。関節に炎症が起こると産生量が増え、軟骨を構成するプロテオグリカンなどの細胞外基質の分解に関与します。

関節リウマチでは滑膜に炎症が起こるため、血液中のMMP-3が上昇することがあります。そのため、MMP-3は滑膜炎や関節リウマチの活動性を反映する補助的な検査として使用されています(文献1、2)。

リウマチで行う他の血液検査については、以下のコラムもご参照ください。

リウマチの血液検査とは?何がわかる?項目と見方をわかりやすく解説

なぜ関節リウマチでMMP-3が高くなるのか

関節リウマチでは、関節の内側を覆っている滑膜に炎症が起こります。

炎症によって滑膜細胞が刺激されると、MMP-3の産生が増加します。炎症を起こしている関節が多い場合や、滑膜炎が強い場合には、血液中のMMP-3が高くなる傾向があります。

そのため、MMP-3は次のような目的で測定されます。

  • 滑膜炎の程度を推測する
  • 関節リウマチの活動性を評価する
  • 治療による変化を確認する
  • 関節破壊が進むリスクを考える際の参考にする

ただし、血液中のMMP-3は全身の関節から産生された量を反映するため、どの関節に炎症があるかまでは分かりません。

MMP-3とリウマチの活動性との関係

関節リウマチの活動性が高く、滑膜炎が強いときには、MMP-3が上昇することがあります。

過去の研究では、MMP-3とCRP、腫脹関節数、疾患活動性などとの関連が報告されています。治療によって関節炎が改善すると、MMP-3も低下することがあります(文献1、2)。

しかし、MMP-3だけで関節リウマチの活動性を判断することはできません。

実際の診療では、以下を組み合わせて評価します。

  • 関節の腫れや圧痛
  • 朝のこわばり
  • CRPや赤沈
  • 患者さん自身が感じる症状
  • 医師による全身評価
  • 関節エコーやX線などの画像検査
  • MMP-3の経時的な変化

当院で行っている関節リウマチの評価については、以下のページをご参照ください。

MMP-3とCRPは何が違う?

MMP-3とCRPは、どちらも関節リウマチの状態を評価するために使われますが、同じ意味の検査ではありません。

CRPは全身の炎症を反映する検査

CRPは、感染症や外傷、自己免疫疾患などによって体内で炎症が起こると、主に肝臓で作られるタンパク質です。

関節リウマチ以外の炎症でも上昇するため、CRPが高いだけでは原因を判断できません。

MMP-3は滑膜炎を反映しやすい検査

MMP-3は、炎症を起こした関節の滑膜などから産生されます。そのため、CRPよりも滑膜炎や関節の炎症を反映しやすい場合があります。

一方で、ステロイドや腎機能の影響を受けるため、MMP-3がCRPより高いからといって、必ずしも関節リウマチが悪化しているとは限りません。

CRPについては、以下のコラムで詳しく解説しています。

CRPが高いと言われたらリウマチ?関節痛・リウマチとの関係

MMP-3が高いと関節破壊が進む?

早期関節リウマチを対象とした複数の研究では、MMP-3高値と、その後のX線上の関節破壊進行との関連が報告されています。

発症早期の関節リウマチ患者を追跡した研究では、治療開始前のMMP-3値が、その後の骨びらんや関節裂隙狭小化などの進行と関連していました。また、約8年間追跡した研究でも、抗CCP抗体と初回のMMP-3値が、長期的な画像上の関節破壊を予測する独立した因子として報告されています(文献2~5)。

ただし、MMP-3が高い方全員で関節破壊が進むわけではありません。

MMP-3はあくまでリスクを考えるための一つの指標です。個人の治療方針は、関節所見、抗CCP抗体、CRP、治療への反応、X線や関節エコーの所見などを総合して判断します。

骨びらんやX線検査については、以下のコラムもご参照ください。

MMP-3が高い=リウマチが悪化しているとは限りません

MMP-3は関節リウマチの活動性を評価するうえで参考になりますが、滑膜炎以外の影響でも変動します。

特に注意が必要なのが、ステロイド内服と腎機能低下です。

ステロイド内服でMMP-3が上がることがあります

プレドニゾロンなどのステロイドは、関節の炎症を抑える治療薬です。

その一方で、ステロイド治療を受けている患者さんでは、関節リウマチの活動性とは別に、血清MMP-3が高くなることが報告されています。

そのため、ステロイドを内服している方では、

  • 関節の腫れが改善している
  • CRPが正常になっている
  • 症状も落ち着いている

にもかかわらず、MMP-3だけが基準値を超えていることがあります。

ステロイド治療を受けている患者群でMMP-3が高くなることが示されています。また、関節リウマチ患者を対象とした後の研究でも、ステロイド治療は血清MMP-3値に独立して関連していました(文献1、6)。

したがって、ステロイド内服中のMMP-3は、数値だけで活動性を判断しないことが重要です。

ステロイド治療については、以下のページもご参照ください。

慢性腎臓病や慢性腎不全でもMMP-3が上がることがあります

腎機能が低下している方でも、MMP-3が高くなることがあります。

関節リウマチ患者を対象とした研究では、腎機能低下が血清MMP-3高値と独立して関連していました。そのため、慢性腎臓病(CKD)や慢性腎不全がある方では、関節炎が落ち着いていてもMMP-3が高めに出る可能性があります(文献6)。

MMP-3の結果を見る際には、クレアチニンやeGFRなどの腎機能も一緒に確認する必要があります。

関節リウマチと腎機能の関係については、以下のコラムで詳しく解説しています。

関節リウマチ以外でもMMP-3が上がることがあります

MMP-3は、関節リウマチだけに特有の検査ではありません。

滑膜炎を伴う次のような疾患でも上昇することがあります。

  • 乾癬性関節炎
  • リウマチ性多発筋痛症
  • 痛風や偽痛風などの結晶誘発性関節炎
  • その他の炎症性関節疾患

実際に、関節リウマチ以外でも滑膜炎を伴う疾患でMMP-3高値が認められたことが報告されています(文献1)。

そのため、MMP-3が高いだけで関節リウマチと診断することはできません。

MMP-3が正常ならリウマチではない?

MMP-3が正常でも、関節リウマチを否定することはできません。

特に、次のような場合には、関節に炎症があってもMMP-3が大きく上昇しないことがあります。

  • 発症して間もない
  • 炎症を起こしている関節が少ない
  • 滑膜炎が比較的軽い
  • 治療によって炎症が抑えられている

関節リウマチの診断では、MMP-3だけでなく、関節の腫れや痛み、リウマチ因子、抗CCP抗体、CRP、画像検査などを組み合わせて評価します。

MMP-3はどのように判断する?

MMP-3の結果を見るときは、一回の数値だけでなく、背景や経過を含めて判断します。

前回からの変化を確認する

MMP-3が基準値を超えているかだけでなく、治療前と比べて上昇しているのか、低下しているのかが重要です。

治療後にMMP-3が低下していれば、滑膜炎が改善している可能性があります。

ステロイドの使用状況を確認する

ステロイドを使用している場合には、病気の活動性が低くてもMMP-3が高くなることがあります。

薬剤名や投与量を含めて評価します。

腎機能を確認する

クレアチニンやeGFRを確認し、腎機能低下による影響がないかを考えます。

CRPや関節所見と比較する

MMP-3だけでなく、CRP、赤沈、関節の腫れ、痛み、朝のこわばりなどと照らし合わせます。

必要に応じて画像検査を行う

MMP-3が高く、実際に滑膜炎が残っているか判断しにくい場合には、関節エコーが役立つことがあります。

関節エコーでは、滑膜の腫れやパワードプラ信号を確認し、現在の関節炎の有無を評価できます。

MMP-3だけ高く、CRPが正常な場合は?

MMP-3だけが高く、CRPが正常という結果は珍しくありません。

考えられる主な理由は次のとおりです。

  • ステロイドを内服している
  • 腎機能が低下している
  • CRPに反映されにくい滑膜炎が残っている
  • 性別や測定法ごとの基準値の影響
  • 過去の値から低下途中にある

MMP-3だけが高いからといって、すぐに薬を増量するとは限りません。

症状、関節所見、CRP、腎機能、治療内容、必要に応じて関節エコーを確認し、総合的に判断します。

まとめ|MMP-3は活動性評価の参考になりますが、単独では判断できません

MMP-3は、関節リウマチの滑膜炎や活動性を反映することがある血液検査です。

治療による変化や、将来的な関節破壊のリスクを考える際にも参考になります。

一方で、次の点には注意が必要です。

  • MMP-3高値だけでは関節リウマチと診断できない
  • MMP-3が高いからといって、必ず病状が悪化しているわけではない
  • ステロイド内服で高くなることがある
  • 慢性腎臓病や慢性腎不全でも高くなることがある
  • 男性と女性で基準値が異なる
  • MMP-3が正常でも関節リウマチは否定できない
  • 症状、関節所見、CRP、腎機能、画像検査と合わせた評価が必要

検査結果の数値だけで不安にならず、治療内容や腎機能を含めて主治医に確認することが大切です。

よくある質問

MMP-3が高いと必ずリウマチですか?

必ずしも関節リウマチではありません。

MMP-3は、他の炎症性関節疾患でも上昇することがあります。また、ステロイド内服や腎機能低下の影響を受けるため、症状や他の検査と合わせて判断します。

MMP-3が高いと関節破壊が進んでいますか?

MMP-3高値と将来的な関節破壊進行との関連は報告されていますが、高い方全員で関節破壊が進むわけではありません。

現在の関節破壊の程度は、X線、関節エコー、MRIなどを用いて評価します。

ステロイドを飲んでいるとMMP-3は高くなりますか?

ステロイド内服がMMP-3高値に関連することが報告されています。

関節症状やCRPが改善していても、MMP-3だけ高値が続く場合があります。

腎機能が悪いとMMP-3は高くなりますか?

慢性腎臓病や慢性腎不全など、腎機能が低下した方ではMMP-3が高めになることがあります。

クレアチニンやeGFRと合わせて判断する必要があります。

MMP-3が正常ならリウマチではありませんか?

MMP-3が正常でも、関節リウマチを否定することはできません。

特に早期や炎症を起こしている関節が少ない場合には、MMP-3が正常のことがあります。

受診をご検討の方へ

MMP-3が高いと言われ、「関節リウマチではないか」「関節破壊が進んでいるのではないか」と不安に感じている方は少なくありません。

MMP-3は関節炎の評価に役立つ検査ですが、ステロイド内服、腎機能、性別など、さまざまな影響を受けます。

当院では、MMP-3だけで判断せず、関節の診察、CRP・リウマチ因子・抗CCP抗体などの血液検査、腎機能、関節エコーなどを組み合わせて、関節炎の有無や活動性を総合的に評価しています。当院の検査体制と関節エコーの実施については、診療案内にも掲載しています。

MMP-3高値を指摘された方や、関節の痛み・腫れ・朝のこわばりが気になる方は、所沢市・新所沢駅近くの当院までご相談ください。

参考文献

  1. Ribbens C, Martin y Porras M, Franchimont N, et al. Increased matrix metalloproteinase-3 serum levels in rheumatic diseases: relationship with synovitis and steroid treatment. Ann Rheum Dis. 2002;61(2):161-166. doi:10.1136/ard.61.2.161.
  2. Tchetverikov I, Lard LR, DeGroot J, et al. Matrix metalloproteinases-3, -8, -9 as markers of disease activity and joint damage progression in early rheumatoid arthritis. Ann Rheum Dis. 2003;62(11):1094-1099. doi:10.1136/ard.62.11.1094.
  3. Green MJ, Gough AKS, Devlin J, et al. Serum MMP-3 and MMP-1 and progression of joint damage in early rheumatoid arthritis. Rheumatology(Oxford). 2003;42(1):83-88. doi:10.1093/rheumatology/keg037.
  4. Yamanaka H, Matsuda Y, Tanaka M, et al. Serum matrix metalloproteinase 3 as a predictor of the degree of joint destruction during the six months after measurement, in patients with early rheumatoid arthritis. Arthritis Rheum. 2000;43(4):852-858.
  5. Houseman M, Potter C, Marshall N, et al. Baseline serum MMP-3 levels in patients with rheumatoid arthritis are still independently predictive of radiographic progression in a longitudinal observational cohort at 8 years follow up. Arthritis Res Ther. 2012;14:R30. doi:10.1186/ar3734.
  6. Hattori Y, Kida D, Kaneko A. Steroid therapy and renal dysfunction are independently associated with serum levels of matrix metalloproteinase-3 in patients with rheumatoid arthritis. Mod Rheumatol. 2018;28(2):242-248. doi:10.1080/14397595.2017.1354431.
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